資産運用会社のグレースケール(Grayscale)は20日、米証券取引委員会にワールドコイン(WLD)のETF申請書を提出した。
ナスダック上場を目指す新たなETF
グレースケールが申請した「グレースケール・ワールドコインETF」は、暗号資産(仮想通貨)であるワールドコインの価格に連動するパッシブ運用の金融商品だ。
ティッカーシンボルは「GWLD」とし、米ナスダック(NASDAQ)への上場を計画している。承認されれば、一般の市場参加者が容易に仮想通貨へアクセスできるようになる。
これは、すでに承認されているビットコイン現物ETFに続く重要な動きである。
同ETFは、CoinDeskが提供するベンチマーク価格を基準に運用される。資産の保管を担うカストディアンには、デジタル資産に特化したビットゴー(BitGo)が指名された。
運用においてレバレッジやデリバティブは使用せず、現物のワールドコインのみを保有する仕組みを採用している。
ワールドコインは、6月末時点で約35億枚が市場に流通している。時価総額は約14億ドル(約2,282億円)に達し、仮想通貨市場で41番目の規模を誇る。
過去24時間の取引高は約1億3,510万ドル(約220億2,130万円)を記録しており、市場での存在感を高めつつある。
生体認証データと市場の集中に関する課題
一方で、今回のS-1申請書には運用上のさまざまなリスク要因も明記されている。ワールドコインのプロジェクトは、人工知能(AI)が普及する時代における身元証明を目的としている。
最大の懸念事項は、専用デバイス「Orb(オーブ)」を用いた生体認証データの収集に対する各国の規制強化だ。
すでにスペインや香港などで事業停止命令を受けており、プライバシー保護の観点から厳しい監視が続いている。
こうした規制当局の動きは、ネットワークの成長を鈍化させる可能性がある。データ削除命令や事業の禁止措置が拡大すれば、ワールドコインの需要減少に直結しかねない。
グレースケールは、これらの動向がETFの価値に悪影響を及ぼすリスクがあると警告している。
また、市場の流動性や取引の偏りも課題として指摘されている。取引高の約84%がバイナンス(Binance)に集中しており、特定の取引所への依存度が高い。
さらに、上位100のウォレットが流通量の約90%を保有しているため、大口保有者の売却が価格の下落圧力を生む可能性がある。
法的な位置づけに関する不確実性も残されている。グレースケールは現在、ワールドコインを非証券の「デジタルコモディティ」として扱っている。
しかし、将来的に米連邦証券法の下で証券と認定された場合、ETFは解散や清算を余儀なくされる厳しい状況に直面する。
ポイント
- グレースケールがワールドコイン(WLD)の現物ETFに関するS-1申請書をSECに提出した。
- ティッカーシンボル「GWLD」として、米ナスダックへの上場を計画している。
- 生体認証データの収集に関する各国の規制強化や、市場の流動性などがリスクとして挙げられている。
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