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欧州連合(EU)はこのほど、新たなマネーロンダリング対策規制(AMLR)を正式に承認した。
この規制は、金融機関や暗号資産(仮想通貨)サービスプロバイダー(CASP)に対し、2027年7月1日以降、匿名の仮想通貨口座やウォレットの提供を禁止するものである。これにより、仮想通貨取引における透明性と説明責任の向上が目指される。
匿名性の高い仮想通貨も禁止へ
新規制では、モネロ(XMR)やジーキャッシュ(ZEC)といった、取引の匿名性を高めるように設計されたプライバシーコインも禁止対象となる。また、ダッシュ(DASH)などの匿名性の高いアルトコインの取引にも影響を与える可能性がある。
金融機関、銀行、そしてCASPは、「匿名アカウント」の維持を禁止される。欧州暗号通貨イニシアチブ(EUCI)が発行したAMLハンドブックによれば、AMLRの第79条は匿名アカウントに関する厳格な禁止事項を定めているとしている。
この動きは、マネーロンダリングやテロ資金供与対策を強化するというEUの継続的な取り組みの一環である。匿名口座やプライバシーコインは、不正な金融活動の追跡を困難にし、犯罪取引の温床となる可能性が指摘されていた。
EUは今回の規制導入により、加盟国全体でより透明性の高い金融環境を構築し、金融規制に関する国際基準との整合性を図ることを目指している。このような規制強化は、安全な仮想通貨投資環境を求める投資家にとっては、長期的に見てプラスに働く可能性もあるだろう。
厳格化される取引と監督体制
新規制には、具体的な措置も盛り込まれている。1,000ユーロ(約17万円)を超える仮想通貨取引については、利用者の本人確認が義務付けられる。これにより、取引の追跡可能性が高まり、管理体制が大幅に強化される見込みだ。
また、新たに設立されるマネーロンダリング対策庁(AMLA)が、主要な仮想通貨プラットフォームを直接監督する役割を担う。AMLAは、規制遵守を徹底させる上で重要な役割を果たすと期待される。
少なくとも6つのEU加盟国で事業を展開するCASP、単一加盟国内で2万人以上の顧客を持つ事業者、または5,000万ユーロ(約80億円)を超える取引を処理する事業者が、AMLAの直接監督の対象となる。EUCIのAMLハンドブックによれば、AMLAは初期段階で40の事業体を選定し、少なくとも各加盟国から1つの事業体を対象とする予定だ。
この監督体制は、EU域内における新しい仮想通貨関連活動の管理について、規制監督を統一し、一貫したアプローチを確立するものとなる。
ポイント
- EUは2027年7月1日より、金融機関や仮想通貨業者による匿名仮想通貨口座およびウォレットの提供を禁止する。
- モネロ(XMR)やジーキャッシュ(ZEC)など、匿名性の高いプライバシーコインも禁止対象となる。
- 1,000ユーロ(約17万円)を超える取引には本人確認が義務付けられ、新設のAMLAが主要プラットフォームを監督する。
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