米アリゾナ州議会の下院規則委員会は3月31日、押収した暗号資産(仮想通貨)を州の準備金として保有する法案を全会一致で可決した。

押収資産を競売にかけず州の準備金へ

アリゾナ州のマーク・フィンチェム上院議員が提出した上院法案1649(SB1649)は、州財務官が管理する「デジタル資産戦略準備基金」の設立を目的としている。

この法案が成立すれば、法執行機関が押収や没収したビットコイン(BTC)やリップル(XRP)、モネロ(XMR)などの仮想通貨を州の資産として保有できる。

従来のように競売にかけて売却するのではなく、準備金として活用することが可能になる。

対象となるのは、時価総額やネットワークの活動状況、分散化の度合いなど、一定の基準を満たした仮想通貨やステーブルコイン、NFTだ。

州はこれらの資産を、安全な保管サービスや上場投資商品を通じて管理する。新たな財務リスクを負うことなく、資産の運用や貸し出しを行う権限も与えられる。

同法案はすでに上院の財務委員会と規則委員会を通過しており、今回下院の規則委員会を全会一致で通過したことで、下院本会議での最終採決へと進む。

ビットコインの価格は10万ドルを突破し、「デジタルゴールド」としての認識が広まっている。

仮想通貨を金や石油のような戦略的準備金として位置づける動きが、超党派の支持を集めている。

公的資金の仮想通貨運用も視野に

今回の動きは、アリゾナ州における過去の仮想通貨関連の取り組みを基盤としている。

同州ではこれまでにも関連法案が提出されてきたが、価格変動の激しさを懸念するケイティ・ホッブス州知事によって拒否権が発動された経緯がある。

そのため、今回の法案では納税者の資金を直接投入するのではなく、すでに押収された資産を活用することで、低リスクで仮想通貨を保有する狙いがある。

また、関連法案である上院法案1042(SB1042)も同時に審議されている。

この法案は、州財務官や退職年金システムが管理する特定の公的資金について、最大10%をビットコインなどの仮想通貨で運用することを許可するものだ。

これらの法案が下院本会議で可決されれば、再び上院での同意を経て知事の承認を待つことになる。

セキュリティ面での対策も厳格に定められている。複数の署名が必要なマルチシグウォレットの導入や、インターネットから切り離されたコールドストレージでの保管、定期的な監査などが義務付けられている。

連邦政府が押収した仮想通貨を競売にかけてきた前例がある中で、アリゾナ州の法案が成立すれば、全米でも先駆的な事例となる。

ポイント

  • アリゾナ州議会の下院規則委員会は、押収した仮想通貨を州の準備金として保有する法案を全会一致で可決。
  • 押収されたビットコインやXRPを競売にかけず、安全な保管サービスを通じて州の資産として管理。
  • 公的資金の最大10%を仮想通貨で運用する関連法案も審議されており、下院本会議での最終採決へと進む。

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谷元 千秋
谷元 千秋
暗号資産ジャーナリスト

2020年より暗号資産(仮想通貨)投資を開始。2021年より暗号資産の情報をブロ... 続きを読む

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