分散型金融(DeFi)市場はこのほど、複数のハッキング事件が連続して発生し、エコシステム全体で6億ドル以上の資産が失われている。被害の規模は過去に例を見ない水準に達している。

KelpDAOで過去最大の流出被害

直近で最も被害が大きかったのは、18日に発生したKelp DAOの事件だ。

LayerZeroを利用したクロスチェーンブリッジが攻撃され、約2億9200万ドル相当の11万6500rsETHが流出した。これは2026年で最大のDeFiハッキング被害となる。

攻撃者はクロスチェーン検証の設定ミスを悪用し、別のブロックチェーンからの指示を偽造した。この不正なメッセージにより、rsETHの総供給量の約18%が攻撃者のウォレットに送金されている。

運営側は46分以内にコントラクトを停止し、追加の流出を防いだ。

この事件の影響は、主要なレンディングプロトコルにも波及している。攻撃者は盗んだ資産をAaveなどに移し、それを担保に2億3600万ドル以上の仮想通貨を借り入れた。

結果として、複数のプラットフォームで多額の不良債権が発生。この際、大量のビットコインが不正に引き出されたという。

一連の騒動を受け、DeFi全体の預かり資産(TVL)は急激に減少している。21日までに全体のTVLは約824億ドルまで落ち込んだ。

年初の約1100億ドルから約25%の減少となる。

高度化する攻撃と市場への影響

今回の連続ハッキングは、攻撃手法の高度化を浮き彫りにしている。AIを活用したソーシャルエンジニアリングなど、従来のセキュリティ対策を突破する手口が確認された。

脅威のレベルは以前よりも一段と高まっている。

また、クロスチェーン通信のインフラが抱える脆弱性も明らかになった。DeFiエコシステムは相互に依存しており、1つの資産が侵害されると被害が連鎖しやすい構造を持つ。

今回の事件でも、単一のプロトコルの弱点が市場全体に波及する結果を招いた。

4月は仮想通貨市場にとって記録的な被害の月となっている。20日までのわずか18日間で、12件のハッキングにより6億620万ドルが失われた。

これは第1四半期の被害総額の3.7倍に相当する規模だ。

事態の悪化を防ぐため、Aaveなどの主要プロトコルはrsETH市場の緊急凍結を実施した。しかし、損失の負担に関する明確な計画はまだ定まっていない。

市場の不安はトークン価格にも直接的な影響を与えている。AAVEの価格は一時16%下落し、92ドルを記録した。

ポイント

  • DeFi市場で4月中旬に複数のハッキングが発生し、6億ドル以上が流出した。
  • KelpDAOの事件が最大規模となり、約2億9200万ドルの被害が出た。
  • 攻撃の高度化やインフラの脆弱性が露呈し、DeFi全体の預かり資産(TVL)が25%減少した。

 

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谷元 千秋
谷元 千秋
暗号資産ジャーナリスト

2020年より暗号資産(仮想通貨)投資を開始。2021年より暗号資産の情報をブロ... 続きを読む

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