世界最大の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンクCEOとロブ・ゴールドスタインCOOは1日、英経済誌The Economistへの寄稿で、資産のトークン化が金融インフラにおける次なる大変革をもたらすとの見解を示した。
両氏はトークン化の現状を1996年のインターネット黎明期になぞらえ、今後数十年で急速な成長が見込まれると主張している。
即時決済とペーパーレス化がもたらす恩恵
フィンク氏は1976年のキャリア開始当時を振り返り、当時の取引は電話で行われ、決済には紙の証券を郵便で送る必要があったと説明。
1977年にSWIFTが登場し、銀行間の電子メッセージングが標準化されたことで、決済時間は数日から数分に短縮された。
現在ではニューヨーク・ロンドン間の取引がミリ秒単位で執行される。
両氏によると、トークン化には大きく2つの利点がある。
1つ目は即時決済の実現だ。現在の市場では決済タイムラインが異なり、取引相手が債務を履行しないカウンターパーティリスクが存在する。
グローバル市場で即時決済が標準化されれば、SWIFTがもたらした変革を大きく超える飛躍となる。
2つ目は、紙ベースの手続きをコードに置き換えられる点だ。
不動産やインフラなど流動性の低い大型資産を、より小口で取引可能な単位に分割できる。
これにより、大手機関投資家が独占していた市場への参加機会が広がる。
現実資産トークン化は20ヶ月で約3倍に成長
寄稿では、トークン化が暗号資産(仮想通貨)の投機的側面とは異なる技術であることが強調された。
両氏は「当初、金融業界にとってトークン化の真価を見極めるのは困難だった。新しい仮想通貨ブームに埋もれ、投機のように見えていたからだ」と振り返っている。
現実資産(RWA)を表すトークンは、世界の株式・債券市場全体から見ればまだ小さな割合に過ぎない。
しかし、過去20ヶ月で約300%成長しており、急速に拡大している。
初期の普及は銀行アクセスが限られる新興国で進んでおり、将来性が高いビットコイン(BTC)など仮想通貨保有者の約4分の3は欧米以外に居住しているという。
一方、米国には依然としてステーブルコイン発行体など、トークン化金融システムをリードし得る企業が多く存在する。
両氏は規制当局に対し、デジタル市場向けに全く新しいルールブックを作成するのではなく、既存のルールを更新して伝統的市場とトークン化市場が連携できるようにすべきだと提言。
「債券はブロックチェーン上に存在しても、依然として債券だ」と述べ、リスクはパッケージの形式ではなく本質で判断されるべきだと強調した。
ポイント
- ブラックロック幹部がトークン化を金融インフラの次なる進化と定義した。
- 即時決済によるリスク排除と資産の細分化が主なメリットとして挙げられた。
- 仮想通貨の流行とは異なり、現実資産への適用と規制順守を重視している。
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