暗号資産(仮想通貨)ウォレット大手のMetaMask(メタマスク)は8日、モバイルアプリ内で直接パーペチュアル(無期限)先物取引ができる新機能「MetaMask Perps」の提供を開始した。
モバイルで完結する高度な取引機能
今回発表された新機能は、分散型取引所(DEX)の「Hyperliquid」を基盤としており、ユーザーは外部の取引所やdApps(分散型アプリ)に接続することなく、ウォレット内で直接取引を行うことができる。
対象となるのは、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)を含む150種類以上の仮想通貨銘柄に加え、エヌビディア(NVDA)やテスラ(TSLA)、アップル(AAPL)といった主要な米国株式市場の銘柄も含まれる。これにより、ユーザーは単一のアプリから多様な金融資産へのアクセスが可能となった。
取引においては最大40倍のレバレッジを利用でき、市場の流動性に応じて制限が変動する仕組みだ。特筆すべきは資金管理の利便性で、ユーザーは保有する任意のEVM(イーサリアム仮想マシン)互換トークンを入金に使用できる。
入金されたトークンは追加の手数料なしで自動的にステーブルコインのUSDCに変換され、証拠金として機能する。このプロセスにより、トレーダーは手持ちの資産を柔軟に活用しながら、迅速なポジション構築が可能になる。
MetaMaskの開発元であるConsensysは、この機能が同社の「非保管型(ノンカストディアル)」の原則を維持していることを強調している。ユーザーは自身の秘密鍵と資産の完全な管理権を保持したまま、秒単位での決済が可能な高速取引を利用できる。利用にはMetaMask Mobileのバージョン7.56以上へのアップデートが必要で、ホーム画面に追加された「Perps」タブからアクセス可能だ。
急拡大するDEX市場とエコシステムの強化
今回の機能追加の背景には、分散型先物取引市場の急速な成長がある。MetaMaskの発表によると、2025年8月には無期限先物DEXの取引高が過去最高となる7650億ドル(約120兆円)を記録した。
さらに、9月の月間取引高は前月比で約50%増加し、1兆1400億ドル(約179兆円)を超えたとのデータもある。市場の関心が単なる現物保有からデリバティブ取引へと広がる中、MetaMaskは「世界金融のためのオールインワンの自己管理型取引ハブ」への進化を図っている。
エコシステムの拡大に向けた取り組みとして、10月末には新たな報酬プログラム「MetaMask Rewards」の開始も予定されている。
このプログラムでは、取引や紹介、カード利用などに応じてポイントが付与され、ランクに応じた特典が受けられる。報酬総額は3000万ドル(約47億円)相当のLINEAトークンなどが用意されており、手数料の割引やプレミアムカードの年会費無料化といったメリットが含まれる。
さらに、2025年末までには予測市場プラットフォーム「Polymarket」とのネイティブ統合も計画されており、ウォレット内での予測市場への参加が可能になる見通しだ。一連の開発は、MetaMaskが単なる保管ツールから、包括的な金融プラットフォームへと役割を大きく転換させていることを示している。
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