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暗号資産(仮想通貨)取引所のビットゲット(Bitget)は28日、VOXEL/USDT市場における取引システムの不具合を悪用した疑いのある8つのアカウントに対し、法的措置を開始したと発表した。
この問題は2025年4月20日、特定の時間帯(現地時間16:00~16:30、またはUTC協定世界時08:00~08:30)に発生した。
取引システムの不具合により、一部のユーザーが異常な価格で取引を実行できる状態となっていた。
ビットゲットによると、組織的なグループがこの不具合を利用し、わずかな投資額から多額の利益を得ていたという。
一例として、100ドル(約1万4300円)の投資が大きな利益を生んだケースが報告されている。
彼らはプラットフォームから合計で2000万ドル(約28.6億円)以上を不正に得たとみられている。
システム脆弱性と市場への影響
この技術的な不具合は、VOXELの価格操作を可能にし、短時間でその取引量を急増させた。
VOXELの取引量は一時127億ドル(約1兆8161億円)に達し、同日のプラットフォーム上でのビットコイン(BTC)の取引量を上回る事態となった。
今回の事件は、仮想通貨取引所が協調的な取引悪用を検知し、防止する能力における脆弱性を浮き彫りにした。
これは、2025年3月に発生したHyperliquid-Jellyの不正利用事件など、最近の類似事例とも共通する課題を示している。
ビットゲットは迅速に対応し、影響を受けた市場を凍結、異常な取引をロールバック(取り消し)した。
また、不正操作に関与した疑いのあるアカウントは停止された。プラットフォームの通常機能は4月24日までに回復している。
法的措置とユーザー保護
ビットゲットが法的措置に踏み切った背景には、市場操作リスクへの対応と説明責任を求める業界内の圧力の高まりがある。
同社はこの措置を通じて、不正行為に対する断固たる姿勢を示す。
ビットゲットは、影響を受けたユーザーに対し、同社が保有する3億ドル(約429億円)規模の保護基金を用いて補償を行う方針を明言した。
回収された資金は、エアドロップの形でユーザーに分配される予定だ。
この事件は、Bitgetのセキュリティ体制に対する懸念を引き起こしたが、同社のネイティブトークンであるBGBやユーザーベースは、事件後も成長を続けていると報告されている。
ビットゲットCEOのグレーシー・チェン氏は、今回の損失はプラットフォーム全体ではなく、不正行為に関与した個々の参加者に限定されると強調した。
また、ユーザーの資産は安全であると改めて保証した。
ポイント
- ビットゲットはVOXEL/USDT市場のシステム不具合を利用した疑いで8口座に法的措置を開始した。
- 不正グループは約28.6億円の利益を得たとされ、ビットゲットは不正取引をロールバックし資金回収を進めている。
- 事件は取引所のシステム脆弱性と市場操作リスクを浮き彫りにし、ビットゲットはユーザー保護基金で補償を行う。
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