中南米の仮想通貨取引所大手Ripio(リピオ)は10月30日、アルゼンチンペソに連動するステーブルコイン「wARS」を発表した

同社の公式発表によると、wARSはイーサリアム、Base、World Chainの複数のブロックチェーン上で利用可能で、銀行を介さない国際送金を実現する。

リピオは2500万人を超えるユーザー基盤を持つ中南米最大級の取引所だ。今回のwARS発表は、同社が計画する中南米各国通貨に連動したステーブルコイン展開の第一弾となる。

アルゼンチンペソと1対1で連動

wARSはアルゼンチンペソ(ARS)と1対1の価値を維持するステーブルコインだ。デジタル決済、QRコード決済、企業間や個人間の国境越え取引、仮想通貨エコシステム内での利回り生成など、幅広い用途を想定している。

リピオの共同創業者兼最高経営責任者(CEO)であるセバスチャン・セラーノ氏は「wARSを皮切りとした地域通貨連動ステーブルコインの発表は、リピオだけでなく中南米全体のデジタル金融エコシステムにとって画期的な出来事だ」と述べた。同氏は「何百万人もの人々の日常生活に根ざした通貨で、決済、送金、ブロックチェーンサービスの新たな基準を創出している」と強調した。

wARSは24時間体制で世界中への送金が可能で、従来の銀行インフラや米ドルへの換算を必要としない。これは中南米における国境越え決済の長年の課題に対処するものだ。

 

拡大するステーブルコイン市場と地域展開

ステーブルコイン市場は世界的に急成長している。リピオが引用した世界経済フォーラムのデータによると、2024年にステーブルコイン市場は27兆ドル(約4158兆円)以上の取引を処理し、ビザとマスターカードの年間取引量の合計を上回った。

アルゼンチンの経済状況も発表の背景にある。同国のインフレ率は2024年4月の292%から発表時点で31.8%まで低下しており、デジタル通貨への取り組みに適した環境が整いつつある。リピオによると、アルゼンチンは中南米でステーブルコイン利用率が最も高く61.8%に達し、ブラジルの59.8%がそれに続く。両国とも世界平均の44.7%を大きく上回っている。

リピオは今後数カ月以内に他の中南米通貨でも同様のステーブルコインを発行する計画だ。これにより地域全体で現地通貨による国境越え取引がシームレスに行えるネットワークの構築を目指す。

市場を支配する米ドル連動のステーブルコインとは異なり、wARSは現地通貨のデジタル化を進める動きを代表している。仮想通貨の速度とアクセシビリティの利点を維持しながら、国内経済活動により適したサービスを提供する狙いだ。

ポイント

  • リピオが2500万人超のユーザー基盤を持つ中南米取引所として、アルゼンチンペソに1対1で連動するステーブルコイン「wARS」を発表
  • wARSはイーサリアム、Base、World Chainで利用可能で、銀行やドル換算を経由しない24時間体制の国際送金を実現
  • リピオは今後数カ月以内に他の中南米通貨でも同様のステーブルコインを発行し、地域全体の国境越え決済を促進する計画

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由利 匠
由利 匠
暗号資産ジャーナリスト

日本語版99Bitcoinsニュースライター。5年ほど仮想通貨メディアでニュース... 続きを読む

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