プライバシーコインとして知られるモネロ(XMR)の価格は28日、ビットコイン(BTC)不正送金の影響で、一時43%急騰する事態となった。
不正送金の詳細と資金洗浄の手口
ある長期ビットコイン保有者のウォレットから28日、多額の暗号資産(仮想通貨)が不正に送金された。
被害に遭ったウォレットからは、約9時間前に3520BTC、当時のレートで約3億3070万ドル(約473億円)相当が不正に送金された。
盗まれたビットコインは、「bc1qcry…vz55g」で始まる特定のアドレスに集められた後、迅速に複数の仮想通貨取引所へ送られた。
送金後、ビットコインは主にモネロへと交換された。これは、モネロが持つ取引の匿名化機能を利用し、資金の追跡を困難にする、いわゆる資金洗浄(マネーロンダリング)が目的と見られる。
このプロセスには、少なくとも6箇所以上の仮想通貨取引所が利用された模様だ。
モネロ価格急騰の背景
大量のビットコインが短期間にモネロへ交換されたことは、モネロ市場における需給バランスを大きく崩した。
結果として、モネロの価格は一時50%も急騰し、最高値で388ドル(約5万5500円)に達した。
モネロは他の主要な仮想通貨と比較して、取引所における市場流動性が低い傾向にある。
流動性が低いとは、売買の注文量が少ない状態を指す。そのため、今回のような大規模な交換注文が、価格を大きく変動させる要因となった。
さらに、この突然の価格上昇は投機的な取引を呼び込み、価格の上昇を一時的に加速させた側面もあるだろう。
調査状況と市場への影響
ブロックチェーン分析を専門とする調査者ZachXBT氏は、不正アクセスされたウォレットを特定し、資金洗浄プロセスを追跡している。
しかし、どの取引所が資金洗浄に利用されたかについては、具体的に明らかにされていない。
モネロの価格は急騰後、やや落ち着きを取り戻し、同日遅くには約308.5ドル(約4万4100円)前後で推移した。
これは24時間で35%の上昇にあたり、市場には依然として不確実性が残っている状況だ。
今回の事件は、大規模な仮想通貨の盗難が、特に流動性の低いプライバシーコイン市場において、いかに価格操作を引き起こしやすいかを示す事例となった。
このようなリスクから資産を守るためには、セキュリティの高い仮想通貨ウォレットの選択が重要となるであろう。
ポイント
- 約473億円相当のビットコインが不正送金され、資金洗浄のためモネロに交換された。
- 大量のモネロへの交換により、需要が急増し価格が一時43%急騰した。
- 事件は、仮想通貨盗難が市場価格、特に流動性の低いコインに与える影響を示している。
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