イーサリアム(ETH)のヴィタリック・ブテリン共同創設者は24日、医療、金融、ガバナンスなどの重要インフラにおいて、閉鎖的なシステムからオープンで検証可能なシステムへ移行する必要性を提唱した

同氏は、新しい技術の波から最も恩恵を受けるのは、それを消費する文明ではなく生産する文明だと指摘している。

閉鎖的システムがもたらすリスク

ヴィタリック・ブテリン氏は、医療、金融、ガバナンスにおける閉鎖的で中央集権的なシステムが、権力の乱用を可能にし、国民の信頼を侵食する脆弱性を生み出すと警告した。

同氏は具体例として、2020年から2021年にかけてのワクチン展開を挙げている。この事例では、独占的な生産プロセスと不透明な情報伝達が世界的な格差を助長したと分析。

中央集権的な企業がデジタル空間の多くを支配している現状に警鐘を鳴らし、独占的支配の悪影響を回避する代替案の必要性を訴えた。

この問題はワクチンに限らず、中央集権的な金融システムが抱えるリスクとも共通しており、そのアンチテーゼとしてビットコイン(BTC)が誕生した背景にもつながる。

同氏の提言は、技術システムや既存機関に対する世界的な不信感の高まりを背景としている。特に、独占的なヘルステックがアクセスを制限し、データ独占を生み、監視リスクを高める方法を批判した。

オープン性と検証可能性が拓く未来

ヴィタリック・ブテリンは、オープンなシステムが権力に対するチェック機能として機能すると主張する。誰でもインフラを検査・検証できる環境が、閉鎖的なシステムにはない透明性をもたらすためだ。

オープンソースの取り組みであるPopVaxのような事例は、透明性がコストを削減し、信頼を再構築できる可能性を示しているという。

こうしたオープンなアプローチは、特定のプロジェクトだけでなく、数多くのアルトコイン開発においても重要な理念となっている。

さらに、検証可能性はソフトウェアだけでなく、ハードウェアやネットワークを含む技術インフラのあらゆる階層に及ぶべきだと強調した。

同氏は、スターリンクのようなインフラのオープンソース版も存在すると述べ、少数の主体に依存することなく、強固なグローバル接続を実現できるとした。

この議論は、イーサリアム(ETH)の今後の技術的進化とも連動している。

プライバシーと規制との両立

ヴィタリック・ブテリン氏は、プライバシーと透明性の両立という課題にも触れた。

ZK暗号のような技術を用いることで、機密情報を損なうことなく検証が可能になるとし、長年重視してきた姿勢を改めて示した。

また、個人が自身のデータを管理できるweb3ウォレットのようなツールは、プライバシーを保護しつつオープン性を実現する上で鍵となるだろう。

この提言は、デジタルインフラの透明性を重視するEUの暗号資産(仮想通貨)市場規制など、進化する規制の潮流とも一致する。

デジタルシステムへの信頼が世界的に規制上の優先事項になる中で、ハイブリッドなモデルも注目を集めていると指摘した。最終的な目標は、単なる技術的な透明性の確保ではない。

権力を集中させるのではなく分散させることで、デジタル時代における強靭な制度を構築することだと結論付けた。

ポイント

  • ヴィタリック氏は医療・金融等の重要インフラで、閉鎖的システムが権力乱用や不信を招くと警告。

  • 解決策として、誰でも検証可能なオープンソースのインフラを提唱し、透明性が信頼を再構築すると主張。
  • プライバシーを保護しつつ透明性を確保する技術の活用を重視し、社会全体の強靭性向上を目指している。

 

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高梨 匠吾
高梨 匠吾
暗号資産ジャーナリスト

仮想通貨専門のWebライター。金融・IT業界での経験を活かし、初心者にも分かりや... 続きを読む

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