イーサリアム(Ethereum)とは、ビットコインに次ぐ時価総額を誇る仮想通貨であり、同時にスマートコントラクトを実行できるブロックチェーンプラットフォームです。2015年に若き天才プログラマー、ヴィタリック・ブテリンによって開発され、Web3時代の重要なインフラストラクチャーとして進化を続けています。
本記事では、イーサリアム(Ethereum)とは何か、ビットコインとの違いや特徴、イーサリアムの歴史について、初心者の方にもわかりやすく説明します。
イーサリアムの重要ポイント
- イーサリアムは契約を自動実行できるスマートコントラクトが画期的な仮想通貨
- ビットコインに次ぐ時価総額第2位を誇り、発行上限は無い
- コンセンサスアルゴリズムがPoWからPoSへと移行しており、現在もロードマップに沿って開発が進んでいる
「イーサリアムとは?」を解説した動画はこちら
イーサリアム(Ethereum)とは?
イーサリアム(Ethereum)とは、ブロックチェーン技術を応用したWeb3上のプラットフォームと、そこで扱われるトークンの両方を指します。2015年に若き天才プログラマー、ヴィタリック・ブテリン氏によって開発されました。ローンチ時点から大幅な価格上昇を記録しており、仮想通貨の1000倍銘柄としても有名です。イーサリアムウォレットを使うことで保管が可能です。
名称 | イーサリアム(Ethereum) |
---|---|
ティッカーシンボル | ETH |
時価総額 | 約500億円 |
時価総額ランキング | 2位 |
総供給量 | 約1.2億ETH |
最大供給量 | 上限なし |
現在価格 | $1,912.67 |
コンセンサスアルゴリズム | PoS(Proof of Stake) |
イーサリアムの特徴
イーサリアムは、ビットコインに次ぐ時価総額を誇る、主要な仮想通貨の1つです。2015年のローンチ以降、デジタル経済の新たな基盤として進化を続けています。
イーサリアムの主な特徴は、以下の通りです。
- スマートコントラクト:プログラム可能な契約を自動実行できる機能。中間業者を介さずに取引を自動化でき、コストと時間を大幅に削減できます。
- DAppsの開発が可能:分散型アプリケーションを開発・展開できる基盤として機能します。金融サービス、ゲーム、SNSなど、様々な用途のアプリケーションが開発可能です。
- 複雑なプログラムを実行可能(チューリング完全性):あらゆる計算処理が可能な柔軟なプログラミング環境を提供。開発者は複雑なアプリケーションやサービスを構築できます。
イーサリアムは、ブロックチェーン技術の応用によりスマートコントラクトを可能にしています。スマートコントラクトとはブロックチェーン上で取引内容を事前にプログラムし、条件が満たされれば自動で取引われるという仕組みです。第三者の介入を必要としないため、仲介手数料を節約につながり、高い透明性・改ざん耐性を持つなどセキュリティー面でも優れています。
スマートコントラクトの自律性、透明性を活かし、イーサリアムでは分散型アプリケーション(Decentralized Application/DApps)を作ることも可能。分散型金融(DeFi)やステーキングサービス、ブロックチェーンゲームなど幅広い分野で活用されています。
さらに、非代替性トークン(NFT)を購入する上でもイーサリアムは便利です。アート作品としての側面を持つNFTでは、著作権や所有権の証明が必要不可欠です。取引内容を事前に定められ、改ざん耐性の強いスマートコントラクトはこうしたNFTの取引にも適していると言えます。
イーサリアムの仕組み
イーサリアムは単なる仮想通貨プラットフォームを超えた、次世代のデジタルインフラストラクチャーとして機能しています。特に、スマートコントラクトとDApps開発基盤としての特徴は、Web3.0時代における重要な役割を果たすと期待されています。
イーサリアムを構成する仕組みは、以下の通りです。
- ブロックチェーン構造:取引データは10秒~20秒ごとにブロックとして生成され、チェーン状につながります。
イーサリアムネットワークの全参加者がブロックチェーンのコピーを保持します。
分散型台帳として機能し、データの改ざんを防ぎます - コンセンサスメカニズム:Proof of Stake(PoS)と呼ばれる方式を採用。検証者は自身のETHを預け入れ(ステーキング)、ブロック検証に参加します。環境に優しく、効率的な合意形成メカニズムを実現しています。
- ガス(手数料)システム:スマートコントラクトの実行やトランザクションには「ガス」と呼ばれる手数料が必要です。ガス料金はネットワークの混雑状況に応じて変動します。
上記の仕組みにより、イーサリアムは単なる仮想通貨プラットフォームを超えた、次世代のデジタルインフラとして機能しています。近年ではミームコインの発行プラットフォームとしても積極的に活用されています。
イーサリアムの発行上限
イーサリアムは「発行上限を設定しない」という方針で設計されました。マイナーやステーキング参加者に報酬を分配する際など、新しく発行され続けられるのです。これにより、ネットワークの拡張を続けることが目的です。
発行上限がないため、ビットコインのように上限が定められている仮想通貨に比べ、インフレを起こすリスクが懸念されることがあります。ただしその対策として、バーンアドレスというものが設計されています。
バーンアドレスに送信されたイーサリアムトークンは、利用不可能になります。こうしてトークンが利用不可能になり、流通から永遠に切り離されることを、焼却処分になぞらえ「バーン」と呼びます。バーンによりトークンの供給量は制限され、デフレ圧力を生じさせることでバランスを保つように設計されているのです。
イーサリアムとビットコインの違い
イーサリアムは現在時価総額でビットコインに次いで2位を占めています。おすすめ仮想通貨の中でも双璧をなすビットコインとイーサリアムにはどのような違いがあるのでしょうか?
イーサリアムとビットコインの代表的な違いは、以下の通りです。
項目 | ビットコイン | イーサリアム |
主な目的 | 送金・決済 | アプリ開発基盤 |
プログラミング | 単純な送金のみ | 複雑なプログラム可能 |
トークン名 | BTC | ETH |
ブロック生成 | 10分 | 12秒 |
発行上限 | 2100万枚 | 無制限 |
合意形成 | 作業証明(PoW) | 持株証明(PoS) |
手数料体系 | 取引量で決定 | ガス代(計算量)で決定 |
生まれた目的 | 銀行に依存しない送金 | 分散型のスマートな契約 |
イーサリアムとビットコインは、どちらもブロックチェーン技術を使用していますが、両者の目的と機能は大きく異なります。ビットコインが「デジタルな価値の保存・送金」に特化しているのに対し、イーサリアムは「プログラム可能な経済基盤」として、より幅広い用途に活用されているのです。特徴の違いは、それぞれの設計思想の違いを反映しており、現在のブロックチェーン業界における両者の異なる役割を形作っています。
ビットコインの特徴
ビットコインは2009年、世界で初の仮想通貨として注目を集め、現在でも時価総額ランキング1位を占めています。最古参の仮想通貨ゆえに購入方法も多様なので、ビットコインの買い方には注意が必要です。
名称 | ビットコイン |
---|---|
ティッカーシンボル | BTC |
時価総額 | 約26兆円 |
時価総額ランキング | 2位 |
総供給量 | 約1850BTC |
最大供給量 | 2100万枚 |
現在価格 | $83,365.63 |
コンセンサスアルゴリズム | PoW(Proof of Work) |
ビットコインは、発行枚数が上限2100万枚に設定されています。インフレリスクが低く、安定性に優れた仮想通貨と言えるでしょう。2024年1月には現物ETFも承認され、ビットコインの将来性期期待されています。
イーサリアムとビットコインの仕組みの違い
コンセンサスアルゴリズム(合意方法)について、ビットコインはPoW(Proof of Work)、つまり「作業(work)」による承認という方式をとっています。そのため、マイナーと呼ばれる人々がコンピューターを用い、計算処理作業を行うことでビットコインマイニングが行われ、マイニング報酬はマイナーたちの作業量に応じ割り当てられます。PoWでは、マイニング作業にコンピューターを必要とし、その作業量がインセンティブとなるために、消費電力が増加してしまうという問題があります。
対して、イーサリアムは2022年にPoWからPoS(Proof of Stake)方式に移行しました。この新しい承認方法では、仮想通貨の「所有(stake)」により承認がなされます。そのため、PoWのようにマイニング作業競争が生じず、電力消費削減につながります。
- PoW(Proof of Work/作業証明):高性能なコンピュータで難しい計算問題を解き、一番早く正解した人がブロックを作れる仕組み。多くの電力を使うため環境負荷が高いですが、セキュリティは強固です。
- PoS(Proof of Stake/持株証明):自分の持っている暗号資産を預けることでブロックを作る権利を得る仕組み。環境にやさしく効率的ですが、資産をたくさん持つ人が有利になります。
PoWの場合、作業効率が競われるため、より演算処理能力の高い、高額なコンピューターを持つ資産家や機関投資家が有利になりやすく、反対に個人投資家が参入しづらくなってしまいます。処理能力に依存しないPoSは、高性能のコンピューターなしでも参入できるという点で、より開かれたコンセンサスアルゴリズムといえます。一方、保有率に拠るということは単純に資本の多寡が反映されるため、完全に平等になる訳ではありません。
セキュリティの観点からみると、PoSの方が51%攻撃への耐性が強いとされています。株の取り引きに喩えると、株式会社の株を過半数保有すれば事実上経営を独占できてしまうように、コンセンサスアルゴリズムの51%が掌握されれば、その仮想通貨の公正性は損なわれてしまいます。これが51%攻撃です。
コンセンサスが作業を通じて成されるPoWでは、その配分がコンピューターの性能に依存するため、配分が偏りやすく、51%攻撃を受けやすいとされています。実際、PoW方式をとるビットコインゴールド(BTG)は過去に51%攻撃を受けたという事例もあります。そのため、PoSの方がセキュリティ面で優れていると言えます。
イーサリアムとビットコインの比較
両者を比べると、ビットコインは安定性、イーサリアムは高いボラリティと応用可能性を特徴としています。こうした特徴をふまえると、ビットコインは長期保存型の投資、イーサリアムは短期型の投資・投機に適しています。
また、ビットコインは歴史ある純粋な仮想通貨であるのに対し、イーサリアムは仮想通貨だけでなく、ブロックチェーンを基盤に実行されるスマートコントラクトにより幅広い応用可能性があるというのも違いです。喩えるなら、ビットコインは一つの分野に特化したスペシャリスト、イーサリアムは他分野に優れたジェネラリストと言えるでしょう。
コンセンサスアルゴリズムに注目すれば、PoS方式のイーサリアムは、PoW方式のビットコインに比べ、小規模事業者や個人でも参入しやすく、51%攻撃耐性が強いと言えます。
イーサリアムの歴史
イーサリアムは2015年の誕生以来、単なる送金手段を超えて、スマートコントラクトやDAppsの基盤としてブロックチェーン技術の可能性を大きく広げてきました。創設者のヴィタリック・ブテリンが描いた「世界のコンピュータ」というビジョンは、今や現実のものとなりつつあります。
イーサリアムに関する歴史を、4つの時代に分けて振り返ってみましょう。
- 黎明期:若き天才の開発
- 草創期:一般公開とハッキング事件
- 展開期:進むアップデート
- 現在:現物ETF承認とトランプ・ショック
黎明期:若き天才の開発
イーサリアムは2013年、当時わずか19歳だったロシア系カナダ人のプログラマー、ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏により考案され、同年にホワイトペーパーが公表されました。
続く2014年7月には、開発資金を獲得するため、ビットコインとの交換で仮想通貨ICOが実施され、その結果6000万ETH(約3万2000BTC)を達成しました。
さらに、ブテリン氏はPaypalの創業者・投資家のピーター・ティール氏による「ティール奨学金」に、若手起業家20名のうちの1人として選出され2年間で10万ドルの資金を獲得します。同じく2014年にはイーサリアム財団が設立され、これらの潤沢な資金のもとイーサリアムの開発が進められました。
草創期:一般公開とハッキング事件
2015年7月30日、イーサリアムはついに一般公開されました。ただし、公開当初は開発者向けのベータ版という性格が強く、取引は可能でもブロックチェーン上にデータが残らないという仕様でした。現在ではおすすめ仮想通貨取引所など、多くのプラットフォームで購入できます。
2016年には3月、「ホームステッド」アップグレードがなされると、イーサリアムは本格的に稼働していきます。より普及が進み、企業や個人がスマートコントラクトを特徴とするイーサリアム上でDappsの開発を盛んに行うようになったのです。
しかし、世間の関心が高まれば、必然的にリスクも増します。「ホームステッド」アップデートから3か月後の2016年6月「Tao DAO事件」と呼ばれるハッキング事件が発生しました。The DAOはイーサのスマートコントラクトを活かした投資ファンドのことで、この事件ではThe DAOのシステム的欠陥を突かれてしまい、約360万ETH(当時レートで約52億円相当)の被害が出ました。
事件はその後、問題の起きたブロックチェーンを切り離し、旧来のETC(イーサリアムクラシック)から、新たなETHブロックチェーンを構築することで収束に向かいました。
展開期:進むアップデート
The DAO事件以降、よりセキュリティーや利便性を向上するアップデートが続いていきます。2017年10月の「メトロポリス」アップデートでは、スマートコントラクトがより簡単に作成できるよう仕様変更がなされ、匿名性の向上などセキュリティーも改善されました。
2020年12月に「セレニティ」アップデートが開始され、イーサリアム2.0が実装。シャーディング、つまりブロックチェーンの分離と並列処理によってトランザクションの処理能力向上が向上しました。
2022年9月には大型アップデート「ザ・マージ」アップデートがなされ、コンセンサスアルゴリズムがPoWからPoSへと移行。トランザクション性能とエネルギー効率、セキュリティの向上が図られます。

さらに、2024年3月には「デンクン」アップデートがなされ、EIP-4844(プロトダンクシャーディング)が導入されました。デンクンアップデートにより、レイヤー2のロールアップチェーン上でガス代が最大1/10に抑えられるようになりました。
現在:現物ETF承認とトランプ・ショック
2024年5月、SEC(米国証券取引委員会)はイーサリアム現物ETFを承認しました。2024年1月のビットコイン現物ETF承認に続き、予想以上に早い承認であると注目を集めました。
The DAO事件以降、順調な足取りを追ってきたものの、2025年2月3日にイーサリアムは急落。ドナルド・トランプ氏が大統領に再就任すると、彼の関税政策の影響を受け、2025年2月3日に2024年1月以来の最低値となる2080ドル水準まで下落し、前の週の高値から最大40%の下落となりました。
トランプ政権はカナダとメキシコからの輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の関税を課すことを発表し、カナダはアメリカからの輸入品へ25%の関税でこれに報いました。経済政策、為替レートの変化は仮想通貨取引にも波及し、仮想通貨投資家の間でもリスク回避の姿勢が強まったことがイーサリアム急落の要因とされています。
まとめ
本記事では、イーサリアムとは?について、わかりやすく解説しました。イーサリアムの特徴や仕組みについて、ご理解いただけたと思います。イーサリアムは、ビットコインとの違いとして幅広いエコシステムを構築しており、NFTや仮想通貨プレセールをはじめ、様々な金融サービスやアプリケーションを実現できるプラットフォームとして発展しています。
2025年はトランプ大統領がトランプコインを発行するなど、マーケット全体が盛り上がりを見せています。今後も仮想通貨バブルが予想されており、とりわけ現状ビットコインに次ぐ時価総額を誇るイーサリアムへの影響は大きいでしょう。
一方、今後新しい仮想通貨が展開し、将来的に未知の仮想通貨が市場を席巻しているという状況もあり得ない話ではありません。仮想通貨市場は、刻一刻と状況が変化していくものです。専門家の見通しを鵜呑みにするのではなく、あくまで「その時点からの見通し」であることを念頭に、日々情報をアップデートしていく必要があります。
イーサリアムを購入する際は、是非イーサリアムウォレットであるBest Walletを使用してみてください。
参考情報
- イーサリアム公式サイト
- ビットコイン公式サイト
- Ethereum Energy Consumption Index(Digiconmist)
- イーサリアム急落 トランプ関税、リスク資産の売り促す(日本経済新聞)
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