CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは、各国の中央銀行が発行するデジタル通貨のことで、日本でも将来的な導入に向けた議論がおこなわれています。
ただ、現状ではまだ使える状態にないため、「CBDCって暗号資産(仮想通貨)と何が違うの?」「CBDCを使うメリットは?」といった疑問を持つ方もいるでしょう。
そこで本記事ではCBDCについて、以下のポイントを解説します。
- CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは何か?導入のメリットは?
- CBDCと他の金融資産(仮想通貨など)の違い
- 世界のCBDC導入状況、日本ではいつ導入されるのか?
金融知識に自信がない方でも理解しやすいよう丁寧かつわかりやすく解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは?
CBDCとは、各国の中央銀行が発行し、国が価値を保証するデジタル形式の法定通貨のことです。わかりやすく言えば、日本円や米ドルのデジタル版です。
Central Bank Digital Currency(セントラル・バンク・デジタル・カレンシー)の略で、日本語では「中央銀行デジタル通貨」と呼ばれます。
キャッシュレス決済の普及や仮想通貨の登場などを背景に、2010年代から世界各国でその必要性が本格的に議論されるようになり、すでに実用化している国も存在します。
なお日本は、まだ導入するかどうかを検討している段階にあり、技術面や制度面の評価を慎重に進めています。
CBDCの種類
日本の中央銀行である日本銀行は、CBDCを「ホールセール型(限定利用型)CBDC」と「リテール型(一般利用型)CBDC」の2種類に分類しています。
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ホールセール型(限定利用型)CBDC
ホールセール型は、主に銀行や大手金融機関など、金融機関同士の取引を対象としたCBDCです。
一般消費者は直接利用できず、中央銀行と金融機関の間での決済や送金の効率化、およびコスト削減が目的です。
特に国際送金や大規模決済において、従来の仕組みに比べて迅速かつ低コストな決済手段となることを期待されています。
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リテール型(一般利用型)CBDC
リテール型は、個人や企業など一般の利用者が直接利用できるタイプのCBDCです。
いわば現金をそのままデジタル化したような位置づけで、買い物や送金といった日常の決済で利用されることを想定しています。
銀行口座を持たない人でもアクセスできるようにするなど、金融包摂の観点からの期待も大きい分野です。
発行や管理は中央銀行が担うため、法定通貨と同じ価値が保証され、信用度の高い決済手段としての活用が見込まれています。
CBDC(中央銀行デジタル通貨)の仕組み
CBDCの仕組みを理解するうえで、いくつかのポイントに分けるとわかりやすくなります。
以下のように、3つのポイントで整理しました。
- 発行・管理・運用の仕組み
- 既存の法定通貨との交換の流れ
- CBDCと既存銀行システムの関係
発行・管理・運用の仕組み
CBDCは、各国の中央銀行が発行・管理するデジタル通貨です。法定通貨と同じく国家の信用に基づいて価値が保証されます。
利用者への提供方法としては、中央銀行が直接配布するモデルもありますが、実際には市中銀行や決済事業者といった民間金融機関を経由して流通させるケースが一般的です。
この仕組みによって、既存の金融インフラとの連携がスムーズになり、利用者も従来に近い形で決済サービスを利用できます。
さらに中央銀行は、CBDCの発行量や流通量を一元的に把握できるため、金融政策や決済システムの安定性をより精密にコントロールできるようになります。
こうした点は、現金とデジタル決済の両方の利点を併せ持つ仕組みとして期待されています。
既存の法定通貨との交換の流れ
CBDCは、既存の現金や銀行預金と1対1で交換できることが前提となっています。
ユーザーが銀行口座にある現金をCBDCへと切り替える場合と、その逆にCBDCを現金として引き出す場合も、どちらも等価で交換が可能です。
この互換性によって、CBDCは法定通貨と常に連動し、価値の安定性が確保されます。
また、交換は通常の銀行を通じて個人や企業が自由におこなえるため、既存の決済インフラを大きく変更することなく導入できる点も大きな特徴です。
CBDCと既存銀行システムの関係
CBDCは銀行を不要にする仕組みではなく、むしろ既存の銀行システムと補完的な関係にあります。
金融機関は利用者にとってのアクセス窓口となり、口座管理や決済サービスの提供といった役割を引き続き担います。
ホールセール型では、銀行間の資金決済をデジタル化することで、取引の効率化や決済リスクの低減が期待されます。
一方でリテール型では、一般ユーザーの決済手段を拡充し、利便性の向上につながる仕組みとして位置づけられます。
このようにCBDCは、従来の金融インフラと共存しながら機能を補い、より安全で効率的な決済環境を実現するための手段となると考えられています。
CBDCと他の金融資産の違い
CBDCに関心がある方の中には、「既存の電子マネー決済や、仮想通貨と何が違うのか」といった疑問を持つ方もおられるでしょう。
そこで本章では、CBDCと他の金融資産の違いをわかりやすく解説していきます。
まずは、CBDCと現金、電子マネーと仮想通貨(ビットコイン・ステーブルコイン)の違いを表にまとめました。
| 項目 | CBDC | 紙幣・貨幣 | 電子マネー | ビットコイン | ステーブルコイン |
|---|---|---|---|---|---|
| 発行主体 | 中央銀行 | 中央銀行 | 民間企業 | 特定発行者なし | 民間企業・DAO |
| 形態 | デジタル | アナログ | デジタル | デジタル | デジタル |
| 価値保証 | 国家の信用 | 国家の信用 | 事業者の信用 | 需要と信用 | 担保資産の保有状況 |
| 主な用途 | 国内決済・送金 | 日常決済(対面) | 日常の少額決済 | 決済・投資・価値の保存 | 仮想通貨投資・国際送金 |
| 決済速度 | 速い | 手渡しで即時 | 速い | 混雑状況で変化 | 非常に速い |
| 追跡性 | 必要に応じて可 | 低い | 事業者が管理 | ブロックチェーン上で公開 | BC上で公開 |
| オフライン利用 | 制度設計次第 | 可能 | 基本不可 | 基本不可 | 基本不可 |
| 相互運用性 | 国家水準で統一 | 高い | 低い | 低い | プロトコルごとに異なる |
| リスク | 非常に低い | 紛失・盗難 | 事業者破綻リスク | 価格変動リスク | 担保不足・規制リスク |
また、それぞれの違いの詳細は以下のとおりです。
CBDCと現金・電子マネー・仮想通貨は、それぞれ仕組みや適した用途などが異なります。
そのため、自身の目的や利用シーンに合わせて最適な手段を選択することが重要です。
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CBDC(中央銀行デジタル通貨)のメリット・デメリット
CBDC(中央銀行デジタル通貨)は、さまざまな領域でのデジタル化が進む現代において、導入のメリットが大きいと考えられています。
一方でアナログな通貨にはないデメリットもあり、そうした課題への対応も含めて、世界各国で導入に向けた議論が進められています。
本章では、そんなCBDCの主なメリット・デメリットを整理しました。
メリット デメリット
CBDC(中央銀行デジタル通貨)のメリット
まず、CBDCの主なメリットは以下のとおりです。
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決済システムを効率化できる
CBDCを導入すると、紙幣や硬貨といった物理的な現金に依存しない、より効率的な決済インフラを構築できます。
取引のスピードは大幅に向上し、企業も消費者もよりスムーズに決済や送金をおこなえるようになるでしょう。
また、現金には製造や輸送、管理や警備といったコストが常につきまといますが、デジタル化が進むとそれらの作業コストも大幅に削減することが可能です。
単にシステムが効率化されるだけでなく、人的資源や財務コストの最適化にもつながり、経済全体に好影響をもたらすことを期待されています。
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国際送金のコストと時間を大幅に削減可能
現在の国際送金は、複数の金融機関を経由する仕組みのため、手数料が高く着金までに数日かかることも珍しくありません。
これに対してCBDCは、相互運用の仕組みや規格を設計段階で組み込むことで、こうした現状の課題を解消できる可能性があります。
もし各国のCBDCが相互に接続されれば、仲介銀行を挟まない高速送金が実現し、手数料も大幅に引き下げられると期待されています。
これは特に、海外送金が生活に密接に関わる移民労働者や中小企業にとって、大きなメリットとなるでしょう。
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金融犯罪の抑止力が向上する
CBDCでは、すべてのトランザクション(取引や処理)がデジタルデータとして記録されます。
そのためマネーロンダリングや不正送金、脱税などの犯罪行為を発見しやすくなるのはもちろんのこと、そもそもの抑止効果も期待できます。
また、通貨偽造のリスクが事実上ゼロになる点も重要です。貨幣の信頼性をより強固なものとし、偽造対策にかかるコストやリスクも削減できます。
こうしたデジタル特性は、金融システム全体の透明性を高め、安全な決済環境の構築に寄与します。
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金融包摂を促進できる
リテール型CBDCは、銀行口座を持たない人でもスマートフォンとネット環境さえあれば利用できます。
世界には依然として銀行口座を持てない人が多く、それが理由で金融サービスにアクセスできない層が存在します。
CBDCはこうした人々が送金や支払いを簡単におこなえる仕組みを提供し、経済活動への参加を後押しします。
実際にいくつかの途上国では、金融包摂の推進を主目的としてすでにCBDCが導入されています。
また、行政支援や補助金の給付もデジタルで届けられるため、社会保障の効率性も高まります。
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経済分析の精度が向上する
匿名性の度合いは国によって異なるものの、基本的にCBDCでは、取引履歴を追跡できる設計が採用されます。
このデータは消費動向や資金フロー、景気の変動などをリアルタイムで把握するための重要な材料になります。
従来の統計では遅延やサンプル誤差が生じやすいという課題がありましたが、CBDCを用いることで精度とスピードが大きく向上します。
結果として中央銀行や政府は、より正確な情報を元に政策判断をおこなえるようになり、景気対策や金融政策を効率化できるでしょう。
CBDC(中央銀行デジタル通貨)のデメリット
一方でCBDCは、次のようなデメリットも指摘されています。
-
プライバシーを侵害する恐れがある
CBDCの懸念点の一つとして挙げられるのが、プライバシーの問題です。
デジタル通貨はその特性上、取引履歴が残るのが前提となります。
中央銀行や政府がどの範囲までデータを閲覧できるようにするのかは国ごとに議論されていますが、場合によっては個人の支払い履歴が詳細に追えてしまう可能性もあります。
それにより、「個人の行動が政府から過度に把握されるのではないか」という不安が生まれます。
またデータが集中することで、もし情報漏えいや不正アクセスが発生した場合には、影響が広範囲に及ぶ可能性がある点も懸念されています。
-
民間サービスを圧迫する可能性がある
CBDCは普及が進む過程で、電子マネーなどの民間決済サービスとの競争が生じる可能性があります。
もし中央銀行が強固なインフラを低コストで提供した場合、民間の決済事業者は利用者を奪われてしまうかもしれません。
またキャッシュレス市場は、これまで多様な事業者が競い合うことで、利便性の向上やイノベーションが進んできました。
しかしCBDCが強く浸透すると、民間の競争が阻害されてしまい、長期的にはサービスの多様性や発展性が損なわれる恐れがあります。
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格差を生む恐れがある
CBDCはデジタル通貨であるため、スマホやインターネットを使いこなせる人には便利ですが、高齢者やデジタルに不慣れな人にとっては大きな負担となる可能性がります。
特に日本は、他の先進国と比べてキャッシュレス化の進行が緩やかで、現金の利便性に慣れ親しんだ人が多く存在します。
国家主導でCBDCが普及していくと、こうした人々が取り残され、社会的な格差が広がっていくかもしれません。
そのため、CBDCを導入する際は格差の拡大を防ぎつつ、一方的な押し付けにならないよう、慎重かつ非常に高度な制度設計が求められます。
日本のCBDC(デジタル円)導入はいつから?
日本でも、CBDC(デジタル円)導入に向けた実験や議論が段階的に進められています。
これまでの動向は以下のとおりです。
- 2020年:日本銀行がCBDCに関する基本方針を発表
- 2021年:概念実証実験を開始
- 2022年:機能・技術面の追加検証を実施
- 2023年~:パイロット実験に移行し、民間金融機関も参加
- 2024年〜:政府・日銀の連絡会議で制度面を議論中
技術的な検証を継続的に実施しながらも、そもそも導入するかどうか自体が、まだ慎重に検討されている段階です。
国の関係省庁と日銀によって開催された直近の連絡会議では、以下のような内容が議題として上がっています。
- 現金と同様の利用者の権利保護のために、各法律をどう整理するか
- プライバシー保護とデータの利活用の両立をどう実現するか
- 民間決済サービスとの役割分担をどう整理するか
こうした技術面・制度面の両方に関する議論と調整が続いており、日本でのCBDC導入の見通しはいまだ不透明な状態にあります。
世界のCBDC事情・導入国
それでは最後に、すでに導入済みの国や先進国にフォーカスして、世界のCBDC事情をご紹介します。
バハマは2020年10月、世界初となる全国規模のリテール型CBDC「サンドドル」を発行。
カリブ海に浮かぶ約700の島々から成るバハマは、銀行サービスへのアクセスに地域差があり、金融インフラを補完することを目的してサンドドルが導入されました。
しかし現状の流通量は、国家の通貨全体のごく一部に留まっています。
そこでバハマ中央銀行は2024年以降、すべての商業銀行に対してサンドドルの配布とアクセス提供を義務付ける法整備を進めています。
カンボジアは、2020年10月にリテール型CBDC「バコン」を発行。こちらはバハマとは打って変わって、2023年末時点で人口の6割相当に普及したと報告されています。
バコン普及の背景には、以下のような要因が挙げられます。
- 決済システム間で高い相互運用性を確保できている
- カンボジア国民であれば誰でも専用プライベートウォレットを開設できる
- 自国通貨だけでなく米ドルとの両替も可能
銀行口座の保有率が低く、現金支払いの慣習が根強かったカンボジアにおいて、バコンはキャッシュレス化と金融包摂に大きく貢献。
CBDC導入の成功例の一つとして、広く認知されています。
中国では 2014年からデジタル人民元の開発を開始し、2020年以降、複数の都市で試験利用が続けられてきました。
公共料金の支払いや商業施設での買い物、社会サービスや農村支援など、多様な用途での活用が報告されています。
2025年には上海に国際運営センターが設立され、国外との決済インフラ連携や国際化を視野に入れた段階に入っています。
ただし、現時点ではあくまで試験運用の段階です。全国民を対象とした正式な法定通貨としての採用には、まだ到達していません。
EUでは、「デジタルユーロ」の発行に向けた調整が進められています。
もしEU加盟国間で統一されたデジタル通貨が導入されれば、国境を越えた決済の簡素化や、外国の決済プラットフォームへの依存低下といったメリットが期待されます。
2023年に調査フェーズから準備フェーズへと移行し、技術方式やプライバシー保護の仕組み、金融機関との役割分担などについての詳細設計が進められています。
欧州中央銀行(ECB)の発表によると、2027年には実用化に向けた試験運用がスタートするとのこと。また、正式な発行は2029年となる見込みです。
アメリカでは現政権下で、CBDC導入に対して非常に慎重な姿勢がとられています。
プライバシー侵害や過度な政府による監視、既存ドル決済ネットワークへの影響などを理由に、CBDC導入に否定的な声が強く、発行を事実上禁止する法案も提出されています。
これに伴って現状、アメリカで小売型CBDCが発行される見込みは極めて低く、実質的に「当面は許可されない」状況だと見られています。
ただし、研究や議論自体は継続されており、将来的な方針の変更余地を完全には閉ざしていない点には注意が必要です。
まとめ
CBDC(中央銀行デジタル通貨)は、各国が金融インフラの高度化や決済のデジタル化を進める中で、高い注目を集めています。
日本においても実証実験が続けられていますが、実際に導入するかどうかは依然として慎重に検討されている状況です。
今後の国際的な動向や国内議論の深まりが、日本のCBDCの未来を左右することになるでしょう。
なお、CBDCのようなデジタル通貨に興味があるなら、ステーブルコインを触ってみるのも一つの選択肢です。
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気になる方はぜひ、Best Walletの評判まとめも参考にしつつ、この機会に利用を検討してみてはいかがでしょうか。
CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関するよくある質問
CBDCとは何ですか?
CBDCは、中央銀行が発行するデジタル通貨です。
Central Bank Digital Currency(セントラル・バンク・デジタル・カレンシー)の略で、日本語では「中央銀行デジタル通貨」と呼ばれます。
法定通貨と同じ価値を持ち、スマホなどを使って安全に送金・決済ができます。
CBDCを導入している国はどこですか?
すでに正式導入している国には、バハマ(サンドドル)やカンボジア(バコン)があります。
また中国やEUなど、導入に向けた準備段階にある国も多く存在します。
CBDCで何が変わりますか?
決済の高速・低コスト化、国際送金の効率化、金融包摂の促進などが期待されます。
一方で、プライバシー保護や民間サービスとの役割分担などの課題も議論されています。
日本ではいつからCBDCが導入されますか?
日本はまだ導入を決定していません。
日銀は技術実証やパイロット実験を進めていますが、正式な発行時期は未定で、導入するかどうか自体も引き続き検討中です。
米国はCBDCを禁止していますか?
アメリカは特にリテール型CBDCに対して慎重で、現政権は事実上「導入しない」方向性を示しています。
プライバシー侵害や金融システムへの影響を懸念する声が強く、禁止に近い立場だと言えます。
参考情報
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