匿名のオンチェーン調査員として知られるZachXBT氏は3日、大規模なフィッシング詐欺で盗まれた暗号資産(仮想通貨)の一部を凍結させる上で重要な役割を果たした。
この事件では、米国の高齢投資家が保有する3520ビットコイン(BTC)、当時の価値で約3.3億ドル(約478.5億円)が不正に流出した。
ZachXBT氏は、盗まれた資金のうち700万ドル(約10億1500万円)の追跡と凍結に貢献した。
巧妙化するフィッシング詐欺の手口
今回の詐欺は、英国を拠点とする「Nina/Mo」および「W0rk」と名乗る詐欺師グループによって実行されたとされる。
彼らは、被害者に合わせたパーソナライズされたフィッシング戦術を用いた。
盗まれたビットコインは、現金化される1ヶ月前に新しいウォレットアドレスに移されていた。これは、追跡を遅らせるための手口と考えられる。
詐欺師はその後、匿名性の高い仮想通貨であるモネロ(XMR)を使って資金洗浄を試みた後、ソーシャルメディアのアカウントを削除した。
被害に遭ったウォレットは、仮想通貨取引所Geminiを通じてビットコインを初期から保有していた長期投資家のものであった。
この事実は、特に最新のセキュリティ対策に詳しくない長期保有者が直面するリスクを浮き彫りにしている。
ZachXBT氏の活動と連携の重要性
ZachXBT氏は2021年から活動しており、仮想通貨関連の詐欺を暴露し、盗難資金を追跡することで評価を得ている。
同氏は、ブロックチェーン分析ツール(ArkhamやChainalysisなど)、オープンソースインテリジェンス(OSINT)技術、そして複数プラットフォーム間のデータ相関分析を駆使して調査を行う。
今回の資金凍結成功には、ZachXBT氏と仮想通貨取引所バイナンスのセキュリティチーム、ブロックチェーン分析企業Chainalysis、そして他の独立調査員との迅速な連携が不可欠であった。
仮想通貨詐欺が高度化する中、このような協力体制の重要性が増している。
ZachXBT氏の活動資金は主に寄付によって賄われているが、2024年には初めて有償での依頼を受け、当局のために2億4300万ドル(約352億3500万円)相当のビットコインを回収した実績もある。
今回の事件は、規制が追いつかない領域における、同氏のような専門家の活動の価値を改めて示している。
仮想通貨 投資は高いリターンが期待できる一方、今回のような詐欺リスクも伴うため、十分な情報収集と対策が求められる。
ポイント
- オンチェーン調査員ZachXBT氏は、フィッシング詐欺で盗まれた約478億円相当のビットコイン(BTC)の一部、約10億円の凍結に協力した。
- 詐欺師は米国の高齢投資家を標的に個人化された手口を用い、プライバシーコインのモネロ(XMR)で資金洗浄を試みた。
- この事件は、仮想通貨詐欺の巧妙化と、専門家、取引所、捜査機関との連携による迅速な対策の重要性を示している。
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