ビットコイン は2日、トランプ大統領の相互関税政策発表を受けて下落し、8万3000ドル台で推移している。
世界貿易に新たな不確実性をもたらすこの政策は、仮想通貨市場全体にも波紋を広げている。
相互関税政策では、日本に対して24%、中国に34%、EU諸国に20%の関税が課される予定で、これらの措置は今月5日および9日に発動する見通しだ。
トランプ大統領は「相手がわれわれに対して行うことはわれわれも相手に対して行う」という原則を掲げ、基本関税として全ての国に一律10%を課し、国ごとに追加の税率を上乗せする形をとっている。
相互関税政策の骨子と市場への影響
トランプ大統領が発表した相互関税は、アメリカにとっての非関税障壁も考慮した形で設定されている。ホワイトハウスの説明によれば、貿易赤字が自国産業の空洞化やサプライチェーンの弱体化につながり、国防産業の基盤を外国に依存する結果となっているとの懸念が背景にある。
特筆すべきは、相手国が報復措置を取った場合にはさらに関税を引き上げるとしている点だ。一方で、経済や国家安全保障の面でアメリカと協調した場合は関税を引き下げる可能性も示唆している。
この政策発表を受けて金融市場では全般的にリスク回避の動きが強まり、暗号資産（仮想通貨）市場も例外ではなかった。ビットコイン（BTC）は前日比1.09%の下落となり、他の主要仮想通貨も軟調な展開となっている。
仮想通貨市場の反応と主要銘柄の動向
ビットコインの価格変動に連動し、イーサリアム（ETH）やソラナ（SOL）などの主要アルトコインも軒並み下落した。ただし、銘柄によって下落率には差があり、独自の強みを持つプロジェクトはより強い耐性を示している。
カルダノ（ADA）やトロン（TRX）などの実用性に焦点を当てたプロジェクトは、相対的に小幅な下落にとどまっている。これらのアルトコインは独自のエコシステムを構築しており、外部の経済ショックに対する耐性を備えていると市場関係者は分析している。
一方、トレーディングボット関連のトークンやレバレッジ型の派生商品は、市場のボラティリティ上昇を受けて大きく変動している。市場の不確実性が高まる中、投資家はリスク管理をより慎重に行う必要性が高まっている。
専門家の見解と今後の展望
市場アナリストのAgne Lingeは「相互関税政策は短期的には仮想通貨市場にネガティブな影響を与えるが、長期的にはインフレヘッジとしての仮想通貨の価値が再評価される可能性がある」と指摘している。
また、仮想通貨運用会社の創業者であるArthur Hayesは「相互関税によるインフレ圧力は、むしろビットコインなどの希少性を持つ資産にとってはファンダメンタルを強化する要因になりうる」との見解を示している。
米国の世論調査では約55%の国民がこれらの関税は過剰であると考えており、今後の政策修正の可能性も残されている。
自動車産業など、グローバルなサプライチェーンを持つセクターは特に大きな影響を受けると予想されており、これらの産業と関連する仮想通貨プロジェクトにも注意が必要だ。
ポイント
- トランプ大統領がカナダ・メキシコに25%、中国に10%の大規模関税を課し、市場に衝撃
- ビットコインが経済不安を受けて約8万3000ドルで推移
- 貿易パートナーからの報復措置の可能性と自動車などの産業への影響が懸念される
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