ステーブルコイン最大手のテザーは21日、「ビッグ・フォー」と呼ばれる大手会計事務所の一社と包括的な準備金監査を実施するための契約を締結したと発表した。
この動きは、四半期ごとの証明書を発行してきたものの、詳細な監査が欠如しているとして批判を受けてきたテザーにとって、透明性向上への大きな転換点となる。
この決定は、2025年3月初めにサイモン・マクウィリアムズ氏が同社の最高財務責任者(CFO)に就任したことを受けたものだ。
新CFOが主導する透明性強化への取り組み
マクウィリアムズ氏は、厳格な財務監査を通じて企業を導いた豊富な経験を持ち、テザーの米ドルにペッグされたUSDTの準備金を検証するための完全な財務監査を推進する役割を担う。
テザーは長年、ステーブルコインが米ドル建て資産によって完全に裏付けられていると主張してきたが、完全な監査がないことから懐疑的な見方も存在していた。同社はこれまで会計事務所BDOによる四半期ごとの証明書に依存してきたが、批評家たちはこれでは不十分だと指摘していた。
監査決定の背景要因
この決定には複数の要因が影響している。まず、規制当局からの圧力の高まりがある。米国政府はステーブルコインに対するより厳しい規制の導入を準備しており、議会ではより高い透明性と定期的な監査を義務付ける法案が検討されている。
また、テザーのCEOパオロ・アルドイーノ氏は、米国のドナルド・トランプ大統領の暗号資産(仮想通貨)に友好的な政策が監査プロセスを促進したと指摘している。これは、政治的支援がこうした監査にとってより良好な環境を作り出したことを示唆している。
ステーブルコイン業界への影響
テザーはエルサルバドルでデジタル資産サービスプロバイダー(DASP)ライセンスを最近取得しており、国際的な拡大努力を反映している。同社は米国債への大規模な投資も行っており、世界的な金融取引における重要なプレーヤーになっている。
「ビッグ・フォー」会計事務所による完全な監査は、テザーの信頼性と規制上の地位を大幅に向上させる可能性がある。
成功すれば、ステーブルコイン業界内での透明性に関する新しい標準を設定し、他のステーブルコイン発行者が監査や規制コンプライアンスにどのように取り組むかに影響を与える可能性がある。
金融業界の専門家たちは、この動きがテザーだけでなく、DeFi(分散型金融)市場を含む仮想通貨業界全体の信頼性向上につながると期待している。詳細な監査結果は年内に公表される見通しだ。
ポイント
- ステーブルコイン最大手のテザーは、大手会計事務所の一社と包括的な準備金監査を実施するための契約を締結
- 「ビッグ・フォー」会計事務所による監査は、テザーの信頼性と規制上の地位を大幅に向上させる可能性がある
- 金融業界の専門家たちは、この監査仮想通貨業界全体の信頼性向上につながると期待している
99Bitcoinsを信頼する理由
2013年に設立された99Bitcoinsのチームメンバーは、ビットコイン黎明期から仮想通貨のエキスパートとして活躍してきました。
毎週の調査時間
10万以上月間読者数
専門家による寄稿
2000+検証済み仮想通貨プロジェクト