暗号資産(仮想通貨)のイーサリアム(ETH)エコシステムを支援するイーサリアム財団は20日、5万ETH(約225億円相当)を新たなマルチシグウォレットに送金したことが明らかになった。
これは、分散型金融(DeFi)エコシステムへの参加および収益獲得を目指すための動きとなっている。すでに大手DeFiプロトコル「Aave」を介したテスト取引も実施したという。
同財団が移動したETHは、財務(トレジャリー)総額の18.5%にあたる金額で、今後も入金額を増やしていく予定だ。
ETH価格は、過去1ヶ月で2%ほど下落し、1ETH=3200ドル付近を推移している。
Ethereum Foundation Treasury Update
The Ethereum Foundation (@ethereumfndn) has set up a new @safe 3-of-5 multisig wallet.
The wallet address is 0x9fC3dc011b461664c835F2527fffb1169b3C213e
An op has been initiated to send 50,000 ETH there, but be patient; due to signing delays,… pic.twitter.com/sIkAlH8ROf
— hww.eth (@icebearhww) January 20, 2025
収益モデルの転換
同財団は、長年にわたりETH売却によって収益を得ることに対して市場参加者から批判を受けてきた。
直近でも100ETH(5230万円相当)の売却を実施。2024年1月2日から執筆時点までに、合計4666ETH(約20億円相当)を売却しているという。
そのため、ビットコイン(BTC)やソラナ(SOL)など主要な仮想通貨が最高値更新を継続する中、ETH価格は2021年に記録した史上最高値を更新できていない。
今回の動きは、そのようなETH売却による収益モデルから転換し、市場への影響を抑制することが期待されている。
The #Ethereum Foundation just sold another 100 $ETH($336K)!#Ethereum Foundation has sold a total of 4,666 $ETH($13.3M) since Jan 2, 2024.https://t.co/li1EpJ7CS1 pic.twitter.com/GFIIqg0Ioi
— Lookonchain (@lookonchain) January 20, 2025
ステーキングも実施か
イーサリアムのヴィタリック・ブテリン共同創業者は、同財団がリーダーシップ構造の「大幅な変更」を1年近く進めてきており、今回の戦略がイーサリアムの分散性および透明性を高める可能性があると述べている。
また同氏は、今まで規制上の懸念やネットワークのハードフォーク時の立場選択を避けるためステーキングによる運用を避けてきたが、今後はその方向性を変える可能性も示唆した。
ステーキングとは、仮想通貨をブロックチェーンにロック(支援)し、その対価として報酬を得る仕組みだ。イーサリアムでは、最低32ETHをステーキングすることで、バリデーター(支援者)として参加できる。
執筆時点のステーキング年間利回りは、投資金額に対して3.31%の利回りを獲得できる。
今回の新規仮想通貨ウォレット作成およびETHの移動は、イーサリアム本体およびエコシステム(特にDeFi)が再評価されるきっかけとなる可能性がある。
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