暗号資産(仮想通貨)調査家のZachXBTは28日、コインベースのユーザーが約3490万ドル(約53億円)相当のビットコイン(BTC)を詐欺で失った可能性があると報告した。
この報告によると、被害者は400.099 ビットコインを失ったとされる。さらにZachXBTは、過去2週間で他にも複数のコインベースユーザーが同様の詐欺の被害に遭い、3月だけで合計4600万ドル(約70億円)以上が盗まれた可能性があると指摘している。
盗まれた資金は一定のパターンで処理されており、詐欺師はThorchainやChainflipといったクロスチェーンプロトコルを利用してビットコインからイーサリアム(ETH)へ資産を移動させ、その後DAIステーブルコインに交換している。
注目すべき点として、コインベースはこれらの盗難に関連するアドレスをコンプライアンスツールで不正として登録していないという。
高度化する詐欺手法と脆弱なセキュリティ
詐欺師たちは非常に巧妙な手口を用いている。ZachXBTの調査によると、詐欺師はコインベースからの公式通信を装い、特に高齢者を標的にしているという。
彼らはコインベースのウェブサイトのクローンを作成し、偽のケースIDを含む偽メールを送信して被害者を騙し、資金の送金を促している。
さらに懸念されるのはコインベース自体のセキュリティ対策の不備だ。ZachXBTは、コインベース内で古いAPIキーに関連する未承認の侵害など、システム的なセキュリティの欠陥があると指摘している。
また、顧客サポートとコンプライアンス慣行が不十分であり、OKXやバイナンスなどの競合他社と比較して対応が劣っているとの見解を示した。
英国金融行動監視機構(FCA)などの規制当局は、すでにマネーロンダリング防止(AML)違反でコインベースの英国支社に罰金を科しており、より厳格なコンプライアンス措置の必要性が強調されている。
年間約450億円の被害と今後の対応
ZachXBTの報告によれば、コインベースユーザーは年間約3億ドル(約450億円)をこのような詐欺で失っているという。特に2024年12月から2025年1月にかけては6500万ドル(約98億円)の大規模な盗難事件が発生している。
これらの深刻な事態にもかかわらず、コインベースは指摘されたセキュリティ侵害やコンプライアンスの問題について公式に認めたり対処したりしていない。
しかし、この状況を受けて規制当局は監視を強化しており、米国証券取引委員会(SEC)は仮想通貨規制へのアプローチを見直し、セキュリティを確保しながらイノベーションを促進するよう努めている。
今回の一連の詐欺事件は、仮想通貨取引所のセキュリティ対策とユーザー保護の重要性を改めて浮き彫りにした。ユーザー側も二要素認証の活用や不審なメールへの警戒など、自己防衛策を強化することが求められている。
ポイント
- コインベースのユーザーが約3490万ドル(約53億円)相当のビットコイン(BTC)を盗難で失った可能性がある
- ZachXBTの調査によると、詐欺師はコインベースからの公式通信を装い、特に高齢者を標的にしているという
- ユーザー側も二要素認証の活用や不審なメールへの警戒など、自己防衛策を強化することが求められている
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