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Arbitrum財団は26日、Nvidiaが暗号資産(仮想通貨)関連の公的発表での社名使用を拒否したことを受け、同社のAIアクセラレータープログラムからの撤退を発表した。
同プログラムはNvidiaとTribeが後援する「Ignition AI Accelerator」と呼ばれるもので、有望なAIスタートアップを支援する取り組みだった。
Arbitrumはイーサリアム(ETH)の主要なレイヤー2ネットワークとして知られ、当初このプログラムで「Nvidiaの独占的イーサリアムパートナー」となることが計画されていた。
Nvidiaの仮想通貨セクターへの慎重姿勢
Nvidiaの仮想通貨に対する否定的な姿勢は過去から一貫している。同社のマイケル・ケイガンCTOは2023年に「仮想通貨は社会に有用なものを何ももたらさない」と発言。ジェンスン・フアンCEOを含む上級幹部らも、仮想通貨の社会的価値について疑問を呈してきた。
この背景には、2018年のICO仮想通貨暴落に関連した歴史的経緯がある。当時、仮想通貨マイニング需要の急減でNvidiaは余剰在庫問題に直面し、仮想通貨投資関連収益の過少報告により巨額の罰金を科された経緯がある。
Nvidiaの「Inception Program」申請ページには、コンサルティング会社や再販業者、クラウドプロバイダー、上場企業などと並んで、仮想通貨関連企業が明確に除外対象として記載されている点も、同社の方針を示している。
提携解消の影響と今後
Arbitrum財団によれば、Nvidiaは提携自体は受け入れていたものの、「仮想通貨関連の公的発表での自社ブランド使用を拒否」し、長期的なコミットメントに欠ける姿勢を示したため、プログラムからの撤退を決断したという。
財団の声明では「ブロックチェーンイノベーションの加速を支援する立場にあるパートナーと協力することにコミットしているため、AIイグニッションアクセラレーターへの参加から撤退するのは健全なビジネス判断だった」と説明している。
今回の提携解消はArbitrumの価格に一時的な影響を与えたが、その後は回復傾向にある。
Arbitrumはイーサリアムのレイヤー2スケーリングソリューションとして引き続き主導的な立場を維持しており、この事態を受けてトークンバイバックやエアドロップなど独自の回復戦略を模索している。
このケースは、AIとブロックチェーン技術の融合が進む中でも、大手テクノロジー企業と仮想通貨プロジェクト間の緊張関係が続いていることを浮き彫りにしている。
ポイント
- Arbitrumは、Nvidiaが仮想通貨プロジェクトとの公的な関連付けを拒否したため、同社のAI支援プログラムへの参加を取りやめた。
- Nvidiaは過去の経験や経営方針から、仮想通貨業界に対して一貫して懐疑的かつ慎重な姿勢を維持している。
- AIとブロックチェーン技術の融合が進む中でも、大手テクノロジー企業と仮想通貨業界の間には依然として隔たりが存在することを示している。
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