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ドイツ最大の金融機関ドイツ銀行は6日、ステーブルコインの発行やトークン化預金の開発を検討していることが明らかになった。
同行のデジタル資産・通貨変革部門責任者のサビ・ベザド氏がブルームバーグのインタビューで語った。
同氏によると、同行は独自トークンの発行または業界全体の取り組みへの参加という複数の選択肢を評価している。また、決済に利用するトークン化預金ソリューションの自社開発も検討していると述べた。
規制環境の整備が後押し
ベザド氏は「特に米国において、ステーブルコインの勢いと規制支援環境を確実に見ることができる」と語った。銀行がステーブルコイン業界に参入する選択肢は幅広く、「準備金管理者として機能することから、単独またはコンソーシアムで独自のステーブルコインを発行することまで」様々な方法があると説明している。
ステーブルコインは米ドルやユーロなどの法定通貨に価値が連動するデジタルトークンで、テザー(USDT)など決済をより高速かつコスト効率的にすることを目的としている。一方、トークン化預金は規制を受けた銀行が発行するデジタルトークンで、銀行預金に対する請求権を表している。
ドイツ銀行はこれまでにも複数のブロックチェーン関連プロジェクトに参画している。昨年はブロックチェーン基盤の国際決済会社Partiorに戦略的投資を行い、国際決済銀行が主導する「プロジェクト・アゴラ」にも参加している。
競合他社の動向
他の大手銀行も既にデジタル資産分野で先行している。JPモルガンは同社のKinexysネットワークが平均で1日あたり20億ドルを超える取引を処理していると報告しており、昨年は取引量が10倍に増加した。ただし、これでもJPモルガンの全体的な日次決済処理額約10兆ドルの小さな部分に過ぎない。
ING銀行のスティーブン・ファン・ライスワイク最高経営責任者も最近のインタビューで「デジタル経済における決済のため、欧州のステーブルコインや欧州銀行間の協力による開発に役割があると見ている」と発言している。
米国では「2025年STABLE法案」などの法整備が進んでおり、デジタル生態系におけるドルの優位性強化を目指している。こうした規制の明確化により、大手技術企業もデジタルトークン統合の検討を進めているとされる。
ドイツ銀行の資産管理部門DWSは、オランダのマーケットメーカーFlow Tradersと新しい暗号資産(仮想通貨)ファンド運用会社Galaxy Digitalと提携してユーロ建てトークンの開発も進めている。
同行の今回の検討は、進化する欧州金融市場でのリーダーシップ確立を目指す積極的な姿勢の表れといえる。
ポイント
- ドイツ銀行が決済インフラ近代化のため、ステーブルコイン発行とトークン化預金の開発を検討している。
- JPモルガンなど競合他社の先行や、ステーブルコインに関する規制整備の動きが背景にある。
- 自社開発だけでなく、業界全体での協業も視野に入れており、デジタル金融への本格参入を目指す。
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