暗号資産(仮想通貨)プライムブローカーのFalconXは19日、年内にも新規株式公開(IPO)を申請する可能性があることが明らかになった。
関係者3名がDecryptに語ったところによると、同社は機関投資家の需要拡大を背景に、上場による事業強化を図る方針だ。
FalconXは、IPOプロセスを検討するため、銀行家やコンサルタントと非公式な協議を行った。同社は、機関投資家の仮想通貨への関心の高まりに応えるため、戦略的パートナーシップや買収を強化しており、株式市場の活用を検討している。
ただし、上場に向けた公式な第一歩となる投資銀行の選定はまだ行われていない。
FalconXの評価額は、2022年に行われた1億5000万ドルの資金調達ラウンドで、最後に80億ドルと評価された。同社はIPO検討の有無についてコメントを控えている。
関係者2名によると、協議の一環として、FalconXは自社の知名度を上げる方法も模索しているという。これは、最近取引を活発化させている同社の成長に向けた、新たな資金調達を後押しする可能性のある動きだ。
この件に詳しいある人物は「IPOを始めるには、ストーリーが必要だ。一般の参加者に向けて自社を売り込むことになる」と語った。
高まるIPO機運、仮想通貨業界に続く波
FalconXのIPO検討は、仮想通貨業界全体で広がる株式公開ブームの中で行われている。
2025年には、ビットコイン(BTC)金融サービス企業Fold、仮想通貨ソフトウェアウォレットExodus、取引プラットフォームeToroなど、前例のない数のデジタル資産企業が株式を公開した。
中でも、ステーブルコイン発行企業サークルが5日に実施した約11億ドル規模の公開は、近年の仮想通貨業界で最大規模のIPOとなった。この成功は、今後さらに多くのデジタル資産企業が市場に参入するとの専門家の期待を煽っている。
サークルの大型IPO直後には、中央集権型仮想通貨取引所のBullishとGeminiがIPOを申請した。
また、BloombergやThe Financial Timesの最近の報道によると、デジタル資産取引プラットフォームのクラーケンや、中国の著名人ジャスティン・サン氏率いるトロングループも、米国連邦規制当局への上場申請を計画している。
事業拡大を加速、機関投資家向けサービス強化
2018年に設立されたFalconXは、当初、顧客が取引所で直接取引するための市場アクセスを提供する、仮想通貨に特化したプライムブローカレッジとしてスタートした。以来、本格的なトレーディング会社兼デジタル資産サービスプロバイダーへと成長を遂げている。
FalconXの共同マーケット責任者であるジョシュア・リム氏は「次世代の仮想通貨のための金融サービスプロバイダー」になることを目指していると語った。同氏は、FalconXが新たな資金調達を検討しているかについてのコメントは避けた。
同社は、マーケット事業、カストディ・ステーキング事業、プライムブローカレッジのダイレクトマーケットアクセス事業という3つの柱を持つ。自己資金を顧客のために投じるディーラーのような形で事業を運営している。
過去1年間、FalconXは事業領域の拡大を支えるため、M&Aや提携を加速させてきた。これらの動きは、参加者の仮想通貨への関心が高まる中、より幅広い顧客層にサービスを提供するための布石となる。
2025年初頭には、収益性の高い世界のデリバティブ市場への進出の一環として、仮想通貨デリバティブ専門のトレーディング会社Arbelos Marketsの買収を発表した。
その数ヶ月後には、国際的な銀行グループであるスタンダードチャータードと戦略的パートナーシップを締結。同行の銀行インフラと外国為替の機能を自社事業に統合し、機関投資家向けサービスを強化した。
さらに5月下旬には、カンター社との提携を発表。ビットコインを担保とする大規模な信用枠を活用する。FalconXのラグー・ヤルラガッダCEOは、これを「より伝統的な機関投資家へのサービス提供を可能にする、広範な信用枠組みの第一歩」と自身のLinkedInで述べている。
リム氏は「我々の確立された事業部門の間に存在するサービス、つまり顧客が外部から個別に調達しなければならないようなサービスを提供する、多くの潜在的な提携・買収対象がある。我々は、そうしたギャップを埋めることができる企業と戦略的に提携または買収したい」と付け加えた。
FalconXのような機関投資家向けサービスの拡充と並行して、個人投資家がアクセスしやすい仮想通貨取引所なども注目されており、市場全体の厚みが増している。こうした動きは、仮想通貨が金融の主流に組み込まれていく過程を示す一例と言えるだろう。
ポイント
- FalconXが年内にも新規株式公開を検討していることが関係者の話で分かった。
- 仮想通貨業界全体で株式公開への機運が高まっていることが背景にある。
- 同社は買収や提携を積極化しており、IPOは事業拡大を加速させる狙いがある。
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