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暗号資産(仮想通貨)取引所のBitgetは10日、2025年版の詐欺対策調査報告書を公表した。
報告書は、人工知能(AI)ディープフェイク技術の悪用により仮想通貨詐欺が急増し、2024年の被害総額が46億ドル(約6624億円)に達したと指摘している。これは、前年から24%の増加となる。
AI技術の悪用で巧妙化する詐欺手口
報告書によると、2024年に発生した高額な仮想通貨詐欺のうち、40%がAIディープフェイクに関連するものだった。詐欺師はAIで生成された合成ビデオを使用し、企業の幹部や著名人、政府関係者になりすます。
これにより、偽の投資案件を宣伝したり、取引所の本人確認手続きを回避したりする手口が横行している。AI技術の進歩により、非常に説得力のある偽の映像や音声を低コストで作成可能になった。
そのため、ディープフェイクの検出は一層困難になっている。これらの詐欺は、時価総額の高い仮想通貨を狙う傾向があるため、投資家はより一層の警戒が必要だ。
実際に香港当局は2025年第1四半期に、ディープフェイク関連の詐欺組織87件を摘発した。その中には、仮想通貨投資家を狙った3400万ドル(約49億円)規模のなりすまし詐欺も含まれていた。
従来型詐欺も形を変え存続
詐欺手口で最も多いのは、依然としてポンジスキーム型のプロジェクトである。これらはDeFi(分散型金融)やNFT、GameFiといった最新のプラットフォームを装い、正当な事業に見せかけることが多い。
偽造された本人確認書類や、AIが生成した架空のチーム紹介コンテンツが悪用されるケースも報告されている。また、一部の分散型取引所が、こうした詐欺的なプロジェクトの温床となっているとの指摘もある。
ソーシャルエンジニアリングは、ポンジスキームに次いで2番目に多い手口とされている。偽のZoom会議への誘導や、Telegram、X(旧Twitter)のコメント欄を通じたフィッシング詐欺がその典型だ。
また、悪意のあるソフトウェアを仕込んだ偽の求人情報など、新たな手口も確認されている。
こうした状況を受け、Bitgetはブロックチェーンセキュリティ企業のSlowMistやEllipticと協力し、詐欺ネットワークに対抗するための啓発キャンペーンを開始した。
詐欺師は暗号化されたプラットフォームや分散型ツールを駆使して法の執行を逃れており、対策が急務となっている。
自己防衛策として、オンライン上のウォレットだけでなく、オフラインで資産を管理できるハードウェアウォレットの導入を検討することも推奨される。
ポイント
- 2024年の仮想通貨詐欺による被害額は前年比24%増の46億ドルに達した。
- 高額被害の40%は、著名人などを装うAIディープフェイクによるものだった。
- ポンジスキームやソーシャルエンジニアリングなど、従来の手口も巧妙化している。
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