大手暗号資産(仮想通貨)企業テザー社は14日、分散型人工知能(AI)開発プラットフォーム「QVAC(QuantumVerse Automatic Computer)」を正式に発表した。
同プラットフォームは、従来のクラウドベースAIと異なり、各ユーザーの端末上でAIを直接動作させる「ローカル実行」に重点を置く。これは、「個人主導のAI」を普及させるという同社の戦略を体現している。
同社のパオロ・アルドイーノCEOは「APIキーや中央制御を必要とするAIツールは“本当にあなたのもの”とは言えない」と語り、ユーザー主権やプライバシーの重要性を強調した。
BTCやUSDT取引も可能に
QVACの最大の特徴は、モジュール式の設計とピア・ツー・ピア(P2P)通信の採用だ。これにより開発者は柔軟かつ再利用可能なAIエージェントを構築できる。
また、中央サーバーを介さずに端末同士が直接やり取りできるため、サービス停止や単一障害点のリスクを低減している。
さらに、QVACはスマートフォンやノートPC、組み込みハードウェア、脳波インターフェース等、幅広いデバイスで動作が可能だ。
このハードウェア非依存設計により、さまざまな環境下でAIが活躍できる。
オフライン動作も特徴で、テザーの「ウォレット開発キット(WDK)」を用いれば、ビットコイン(BTC)やテザー(USDT)の自律的な送金や受取が仲介者不要で実現可能となる。
分散型ガバナンスとセキュリティ志向の設計
QVACは分散型ガバナンス構造を採用し、中央権限を排除している。これにより、ユーザーや開発者がネットワーク運営に直接関与でき、ブロックチェーンの原則と合致する運用体制が実現されている。
また、分散ネットワークと第三者依存の排除により、データ漏洩やサービス停止などの脅威にも強い。
QVACの「スウォーム(群集)アーキテクチャ」は、数兆単位のAIエージェントやアプリが独立して動作し、規模拡大にも柔軟に対応できる。
主な用途としては、AIを活用した金融サービスやセキュアなデータ処理、個々のハードウェアに最適化されたパーソナライズ型アプリケーションなどが期待される。
クラウド依存からの脱却と金融インフラの統合を掲げるQVACの登場は、AIの分散化と仮想通貨分野の新しいトレンドの一端を示している。
ポイント
- テザーが分散型AI開発基盤QVACを発表し、ローカル実行とP2P通信を実現した。
- QVACはBTCやUSDTの自律取引に対応し、オフラインでも利用可能となっている。
- プライバシー保護や分散ガバナンスにより、中央集権型AIとの差別化を図っている。
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